農地の売却は一般的な宅地と比較して売却しにくいことをご存じでしょうか。
農地の取引は「農地法」に基づいて、通常の宅地の取引などとは異なる手続きが必要です。
今回は、農地の売却が難しい理由や農地の売却方法について紹介します。
□農地の売却が難しい理由
農地を売却するのが難しいのは「農地法」で土地の用途が耕作と決められ、購入者が絞られているためです。
農地法によって、農地を購入できるのは地域の農業委員会に許可を得た農業就労者に限られています。
つまり、農業をこれから始めようと思った人が農地を買って、新たに農家になることができないということです。
最近では、さまざま企業が法人として農業に参入していることもあり、農業法人に売却するという選択肢もあります。
ただ、使用用途が決まっている土地の売買では、売却がかなり安く取引される場合が多いです。
また、一時期では農地を太陽光発電の用地にする事業が注目されていましたが、これも新たな環境問題が発生したり、収益性が不明瞭になる問題が挙げられました。
耕作放棄地が全国的に増加している現状を見ても、農地がいかに売却しにくいかがうかがえるでしょう。
□農地売却の手続きと流れ
農地売却は大きく2種類に分けられます。
*農地のまま売却する
農地のままの場合、手続きは簡潔です。
農業委員会からの許可指令書を交付してもらった後は、買主を自力で探すか、地域の農業関連機関の斡旋で探すケースが多いです。
購入希望者が見つかった場合は、売買契約をした後、所有権移転登記をして手続きが完了です。
*農地を転用して売却する
転用を前提に売却する場合には、都道府県知事または指定市町村の許可に加えて、農業委員会への許可申請が必要です。
書類審査や価格査定も含めた、約2ヵ月に及ぶ審査を経て許可が下りたら、売却活動が開始できます。
転用する場合、不動産業者を通して買い手を見つけるのが一般的です。
買主が見つかれば、「停止条件付売買契約」を締結します。
停止条件付き売買契約とは、「農地法に基づく許可が降りたら」という条件のもとに「売買契約」が締結されるという契約です。
売却活動は、許可申請前に行うのが一般的であるためこのような条件付きの売買契約が必要なのです。
売買契約が締結されれば手続きは完了です。
ただ、節税のために特例を利用する場合には確定申告が必要となるため事前に調べておきましょう。
□まとめ
農地の購入は農地法により、農業就労者しか認められていないため、農地の売却は行いにくいことを理解しておきましょう。
農地を売買する方法は、農地のまま売却する方法と農地転用後に売却する方法があります。
農地転用は農業委員会の許可が必要であり、市街化調整区域など原則として農地転用が認められない土地もあるので、ご注意ください。